そんな便利な教科書はどこにもない

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「どうして学校に行かないの?」
と聞かれるのが辛かった。

行・か・な・い、んじゃない。
行・け・な・い、のだ。

だから両親が「行かない」のではなく、
「行けない」のを理解してくれて、
「行けなくてもいいよ」
と言ったときは嬉しかった。

反面、親からあきらめられてしまった、
そんな寂しさもあった――。

『「学校に行きたくない」って
誰にも言えなかった』を読んだ。

不登校を経験した当事者と、
不登校の子どもを持つ親の対談が
メインになっている、ありそうで
なかなかない、貴重な本だった。

冒頭の話は第2章の
不登校経験者梨本進さんの話だ。

言葉尻ひとつ、なのかも知れない。

でもそこにはいくつもの
意味が入り込んでいる、と思った。

母親に泣かれること

この本には全部で5組の不登校経験者と、
不登校生の親の対談が収録されている。

印象的だったのは、、、

不登校だったころ、辛かったのは
「母親に泣かれること」
と答える人が多かった。

一方でそれが嬉しいと感じる人もいる。

第6章の里中三枝さんの話だ。

辛かったのは母親が里中さんを
強引に学校へ行かそうとしたこと。

逆に嬉しかったのもそのことで、
初めて母の涙をみたとき、自分のことで
一生懸命になってくれているんだなあ
と感じたという。

本当に人それぞれで、
正解もマニュアルもない。
それが不登校だと改めて感じた。

そんな便利な教科書はどこにもない

同じくこの本に収録されている、
代々木カウンセリングセンター
専任相談員の池亀良一さんのコラム
「よその子と比較しないで」
のこの一節が良かった。

この対話を、不登校の子に対する親のノウハウとして読むとするなら、あまり良い教科書とは言えないかもしれません。そして、おそらく、そんな便利な教科書は、どこにもないと思います。

できることなら、この対話の中で、今、自分なりの道を見つけて歩いている子どもと、現在、不登校の子によりそって歩いている親の、その懸命な姿から、一人でも多くの方が元気を分けてもらえるといいなと思います。

まさに、その通りだなあと!

今日も良い1日を。

P.S.
この本を監修されたさくら国際高等学校
学園長の荒井裕司さんをゲストにお招きして
「ひきこもり・不登校からの自立」という
オンラインセミナーを来月、開催します。

先着20名様です。お申込みはこちらから↓
https://seminar20210828.peatix.com/

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。