本を出版する、というのはなかなか、
なかなかに大変なことだ。
一応、自分たちもやってるからよく分かる。
不登校生たちが作った本
新潟のフリースクール
「あうるの森」の子どもたちが先月、
自分たちで本を出版した、という。
そのこと自体、本当に素晴らしいと思った。
ただ素晴らしいと心の中で
思ってるだけじゃ、ナンなので。
実際にAmazonで買って、早速読んでみた。
『不登校宣言』という本だ。
学校から、飛び出そう‼︎
と帯にある。表紙でもジャンプしてるし、
タイトルの『不登校宣言』というのも
かなりポジティブな印象だ。
でも――決して悪く言うわけじゃないけど、
読んでみての内容は、そんなに突き抜けた
明色のカラッとした内容ではない。
いじめ、自責の念、先生や学校との対応、
そして将来への不安……。
明色のカラッとじゃない、とてもリアルな
「不登校生の本音」を読むことができた。
事態を好転させるとは思えない解決策
そして読み終わってすぐの今、
やっぱり強く印象に残っているのは、
いじめとその際の先生の対応だ。
だいたい、傷ついている側としては
いじめ加害者に会うのも嫌なのだ。
でもそんなことはおかまいなしに
勝手に和解の場を先生たちは設定する。
もっと酷いのは――。
いじめっ子を謝らせに家に連れてきて、
謝ってるんだからもう許せと迫ったりする。
先生なりの必死さなんだろう。
でもその解決策が事態を好転させるとは
ぜんぜん思えない。
あとは、不登校生の気持ちなど
お構いなしの頻繁な家庭訪問とか……。
読んで思ったのは学校ではいまだに
そういう例が横行しているんだなあ、と。
この点については暗澹たる思いがした。
読んでもらいたいと思うのは
この本の一番良いところは、なにより
沢山の生の声が載っていることだと思う。
12人の不登校生、4人の保護者、
そして3人の先生の自分トークまたは
インタビューが読める。
中でも一番読み応えがあったのは、
ラストの3人の先生と
「あうるの森」の子たちとの
座談会のパートだった。
お互い、いい形で
本音の話ができてると思った。
そして個人的にはこの本を是非
学校の先生に読んでもらいたいと思った。
不登校生の先生に対する気持ちが
これでもかというくらい書かれてる。
こうしたらいい、という正解はない。
ただ、この1冊を読むことでかなり、
「言っちゃいけないこと」
「やっちゃいけないこと」
これは相当ずっしり、感じ取れると思う。
最後に個人的に
強く印象に残った箇所を2つ紹介。
優斗 それでもやっぱり同級生に会うのは嫌でしょ?
悠馬 まあ、はい。それはいまでも嫌です。
優斗 なんで嫌なの?
悠馬 え? そうですね……なんかまた、「学校来いよ」とか言われそうだから。
優斗 一番嫌いな言葉が「学校に来いよ」?
悠馬 一番嫌い。その次は「なんで学校来なくなったの?」だね(笑)。仲間トーク❷悠馬x優斗 P.47
そして、僕は人のつまづきにも優しくなれたと思う。学校に行けなかったり、落ち込んでいたり、うまく生きていけない人の気持ちを分かりたいと思えた。それは自分が不登校を経験したからだ。自分も他の人と比べたらうまく生きているとは言えない。だからこそ、そのような人を分かってあげたいと思う。
あとがき P.266
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