振り返ってみれば不思議なもので

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もう四半世紀も前のことだけど。

学校を出て
最初に就職したのは広告会社だった。

配属はクライアントと向き合う最前線、
花の営業だ。

「自分の斬新な発想力とコンセプトを
世に問いたい」

みたいな、実にチャラい気分で
広告業界を選んだんだけど、

待っていたのはそんな気分が
木っ端微塵に吹き飛ぶ、
猛烈体育会系マッチョな世界だった。

なによりも――。

斬新なコンセプトとかほざく前に、
迫り来る怒涛の印刷物があった。
毎日ポジと写植と版下で入稿だった。

納期月末で部数三千、中綴じ8ページ、
紙はコートで四六ひゃくとお!
と叫ぶ毎日だった。

広告の仕事と言っても僕の場合、
ほとんどが印刷の仕事だった。

その後もずっと消費財メーカーで
マーケをやってきたから、
やっぱり印刷物を作ることが多かった。

カタログ、チラシ、DM、POP、
アンケート、取扱説明書から小冊子、
新聞雑誌のタイアップ広告まで…。

いつもだいたい時間も予算もなかったから、
ほとんど自分で原稿を書いて、
デザインまでしたことも結構多かった。

そんなこんなが今、
びーんずネットのインタビュー事例集
『雲の向こうはいつも青空』を作るのに
結構役立っていたりする。

振り返ってみれば不思議なもので。

俺は広告の仕事がしたくて就職したんだ、
印刷なんてホント嫌だ!

20代の当時は心底そう思っていたんだけど、
今となっては180度、真逆になった。

デジタル時代の今だからこそ、
紙の印刷物がなんとも愛おしい。

『編集者の仕事 本の魂は細部に宿る』
柴田光滋

この本を一気読みした。

「いい本」はどこが違うのか
四十余年の経験から語り尽くす
「紙の本」の魅力
電子書籍にはない職人技に迫る

と帯にあるとおりの本だった。

平たく言えば、
普通の人にはどうでもいい、
意味も違いもわからないような
ディテールだらけの話だ。笑

でも、そのディテールが
いい塩梅で積み重なると、
ホント心地よいんだよね。
しみじみ、そう思う。

さて。

不登校インタビュー事例集
『雲の向こうはいつも青空』。

第二号発行に向けて今、
録音の書き起こしという
超絶地味な作業を黙々と続けている。

うん、今日もこれからキリッとやりますよ!

今はまだ、細部に魂が宿る前の段階だ。

でもこの作業の向こうに、どこかの
見知らぬ誰かの心がふっと軽くなる――
その瞬間が来るかも知れない。

その一念で頑張るつもり。

次号発行目標は来月末。

ってもうあと8週間か。
かなり尻に火がついてきたけど…。

が・ん・ば・ろ・う

お楽しみに!

P.S.
現在発売中の創刊号はこちら
https://beans-n.com/lp/behind-the-clouds-vol1/

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。