あ、これいいなあ。
自分もやってみようかな。
そう思った。
永六輔さんが映画評論家の淀川長治さんの
お見舞いに行ったときの話だ。
病室に行くと貼り紙がしてある。
「このドアを開ける人は、
笑って開けてください」
そう書いてある。
なので永さんは満面の笑みで入った。
そしたら、あんたはそんなに
笑わなくていいよ、
と逆に淀川さんに笑われたという。
この貼り紙は淀川さんが
看護師さんたちに向けて書いたものだ。
淀川さん曰く――。
看護師はとても忙しく、顔つきが険しい。
それは仕方ない。
でもこちらの気が沈んでしまう。
もしかして自分の病状が悪いから
こんな顔をしているのではないか、
といらぬことまで勘ぐってしまう。
いつも笑顔で部屋に入ってきてほしい。
だから貼り紙をしたんだ、と。
永さんが帰りにナースセンターに寄ると、
看護師長が嬉しそうにこう言ったという。
「あの貼り紙が貼られてから、うちの看護師たちは淀川先生の部屋以外でもよく笑うようになったんですよ」
日本講演新聞4月25日号の社説で
紹介されているエピソードだ。
貼り紙はちょっとしたことかも知れない。
でもそのおかげで、確実に
周りの雰囲気が変わったりもする。
たった貼り紙だけのことで、だ。
特に僕はね、自他共に認める
器が小さい男なんで。笑
キリキリしたときは思い出したいなあ。
そう思って書き残す次第。
このドアを開ける人は、
笑って開けてください。
今日も良い1日を。
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