理解できなくとも、理解しようと思うところから始まる

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早起きした日は積ん読の本を消化!

ということで読んだ。

『ひきこもり国語辞典』

不登校情報支援センター代表の
松田武己さんが監修した本で、
松田さんが数多くのひきこもり当事者、
経験者と接する中で

「これは鋭い」
「おもしろい」

と感じた言葉を、
国語辞典の形にまとめたものだ。

部屋から出ないあの子の気持ちがここにある

と帯にある通り、
当事者の実感がひしひしと、かつ
若干の自虐も含んで伝わる一冊だった。

しっぱい(失敗)
とても怖いこと、絶対に避けなければならないことが失敗です。失敗するとパニックになり対処不能です。細い道でさえ踏み外さずに歩まなくてはならない気持ちでいます。失敗しないためには身動きしないのがいちばんです。大人のよちよち歩きを大目にみてくれると、失敗しても成長できるような気もします。

きをつかわれる(気を遣われる)
手元にあるものを「取ってください」と言われると気軽に手渡しできます。でも気を遣ってわざわざ取りに来る人もいます。気を遣わないで声を掛けてほしいと思います。逆の立場のとき、私は誰かに取ってくださいとは言えそうにありません。変かもしれないけど、これが私です。気を遣うけれども、気を遣われたくないのです。

などなど。

思わずクスッとなるものも多かったし、
胸が痛くなる辛いものもいっぱいあった。

僕は一気読みしたけど、
300ページ弱あるのでさすがに疲れた。

もちろん「辞典」なので
最初から順番通りに読む必要はない。

ときどきパラパラめくってみる感じで
特に親の立場の人が読んだら
いいんじゃないかな、と思った。

ちなみに。

個人的にいちばんグッと
胸にきたのはコレだった。

そうだね
子どものころから聞きたかったことばです。言うことや、したことは「そうじゃないよ」「それじゃだめ」と、不足や間違いを指摘され続けてきました。そのつど、この人には通じない、受け止めてもらえないと心に刻んできました。「そうだね」ということばが聞きたいです。

本当に、そうだよね……。

最後の松田武己さんと池上正樹さんの
対談の中の松田さんのこの
「秋の桜」の例えもとっても刺さった。

例えば、桜が秋に咲いたとしますよね? そうしたら、それを変だというのか、ということなんです。もちろん桜が秋に咲いたら変ですよ。変だけど、自然現象に対しては不思議だなと思うくらいで変だといって責めないですよね。何か理由があると考えるでしょう。それと同じで、ひきこもりにも理由がある。理解できなくとも、理解しようと思うところから始まることを知ってほしいわけです。いい悪いの判断から始めない、ぼくはそうしてきました。

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。