窮屈なことが好きじゃない

窮屈なのが好きじゃない

パーソナルスペースのことをご存知ですか?

他者が自分に近づくことを許せる範囲、
つまり心理的な縄張りのこと。

誰かがこの範囲に踏み込んでくると
不快に感じたり、
落ち着かない気持ちになったりする。

僕はこのパーソナルスペースが、
多分、人より広い。

満員電車ならいざ知らず、
空いているスペースもあるのに
近くに立つ人がいると、
イライラしてしまうことが多い。

マラソンはペースをキープする競技

ちなみに昨日は
東京30kという大会を走った。

僕らのような市民ランナーは
練習で42kmを走ることはまずない。
ダメージが大きすぎるからだ。

代わりに30km走が有効とされていて、
レースの1ヶ月前くらいに一度は
走っておくことが推奨されている。

実感として30km走をこなした分だけ
レースの結果が良いので、
僕の場合、12月のレースに向けて
隔週で3回、走る予定を入れている。
昨日はその一回目で走った。

マラソンはペースを維持するのが肝だ。

1キロあたり何分何秒で走るか。
それをひたすらコントロールし続ける競技、
と言ってもいい。

例えば1キロあたり10秒遅く走ったとする。
そうすると結果はどう変わるか?

10秒掛ける42kmで420秒、
つまり7分、結果が変わることになる。

1kmあたりプラスマイナスで
5秒以内くらいにおさえないと
良い形で走れたと言えない。

そして、ペースをキープするのは
意外と簡単じゃない。

だから、
ペースメーカーという存在がある。

ぴったり目標タイムで走れるように、
決めたスピードきっかりで
走ってくれる人たちだ。

ペースを委ねられるから

ペースメーカーと一緒に走るのは楽だ。
とにかく余計なことを考えずに、
後ろにくっついて走ればいい。

なので、ペースメーカーの後ろには
流れる砂糖水を追いかけるアリのように、
ランナーが団子状に群がることになる。

昨日はシーズン初の30km走ということで、
確実にペースを維持して走りたかった。

だから僕も頭に風船を付けた
ペースメーカーの後ろを…つまりは
集団に混じって走ることにした。

でもこの集団が僕のパーソナルスペースを
容赦なく侵害しまくるのだ。

肘が誰かに当たったりする。
もうちょっと離れて欲しいと思う距離で
前後左右をサンドイッチされる。

息苦しい。誰かがここで転倒したら
少なくとも数人は一緒に転ぶ羽目になるな。

そんなことを心配して、余計に疲れる。
気がつくとイライラしっぱなしだった。

なら、ペースは自分で維持してみたら?

結局3kmくらい走ったところで、
ペースメーカー集団の前に出た。

そして、このときの開放感ったら!

前後左右を取り囲んでいた
アリどもはもういない。
空は高く、見晴らしも風通しも良く、
目の前の道は限りなく広い。

なんだか、目隠しが取れたみたいだった。
すごく気持ちよかった。

集団の足音を後ろに聞きながら、
一定の距離をとって走るようにした。
少しペースが狂うこともあったけど、
まあまあ、いい形で走りきれた。

タイプとして、苦手

そして心底、思った。
自分は集団の中に混じって走るのが
苦手なんだ、と。

要は窮屈なのが好きじゃないのだ。

ペースメーカーと走るのは楽だ。
余計なことを考えなくていいし、
くっついて走っている限り、
確実に狙ったタイムでゴールできる。

タイムを目的にするなら、
いちばん効率的で安全な走り方だろう。

でも、それが窮屈なタイプもいるのだ。
僕がそうだし、忍介も多分そうだ。

会社とか、学校とか。

そこにいれば余計なことを
考えなくていいし、
いる限り一定の成果が得られる目算が高い。

でもそうじゃない走り方をしたからって、
必ず落伍するわけじゃないと思う。

だから、あなたが走る立場で、
もし何かに窮屈さ・息苦しさを
感じているんだったら、

そこから思い切って
離れてみることをすすめたい。

そしてあなたが応援する立場であるなら、
離れて走る人をあたたかく見守ってほしい。

大切なのは自分の足で走ることであって、
歩調をあわせてみんなと一緒のペースで
走ることが目標ではないはず。

そうですよね?

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2 件のコメント

  • 正に最近私が考えていることがこれです。
    私もここから入って欲しくないスペースに人が入ってくることが不快でたまりません。
    それが家族であっても。
    二男も同じだと感じます。
    マラソンも息子と一緒に走ると自分のペースが守れなくて疲れきります。
    自分のスペースとペースこの二つ大事ですよね^ ^

    • suzzyさん、

      コメントありがとうございます。感覚が近いようで、嬉しいです。「ペース」と「スペース」←これ、韻を踏んでるみたいで良いですね。わかりやすいし。今度誰かに説明するときには使わせてもらいます!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。