保育園の父母会の忘年会。
子どもたちはジュースで、大人はお酒で、
乾杯し楽しく過ごしていた。
その参加者の中に一人、
フリージャーナリストのお母さんがいた。
暮れも押し迫っているのに
これから取材に出なければいけないと言う。
幸い子どものけんちゃんは、
他の子と夢中で遊んでいる。
ほかのお母さんたちによろしく、
と託してそっと出て行った。
けんちゃんは1歳8ヶ月。
他の子たちと遊んでいたが、
しばらくしてママの不在に気づいた。
「ママがいない!」と泣き始める。
周りの大人たちはけんちゃんを慰める。
「けんちゃん、
男の子なのに泣くなんておかしいよ」
「いつも泣かずにお留守番してるのに、
今日はどうしたの」
ところが。
そうやって大人たちが言えば言うほど、
けんちゃんの泣き声は高くなる。
泣き声には怒りが混じり、
泣きやむどころか手がつけられない。
連日紹介している、内田先生の
本の中でのエピソードだ。
そしてこれが、相談活動の
原点になる体験だったという。
内田先生はふと気がついて
けんちゃんにこう声をかけた。
「けんちゃんはお母さんが
黙ってお仕事に出たから怒ってるんだね」
「うん」
「お母さんがちゃんと断ってから行ったら
今日はみんながいるから待てたのに、
それがないから怒っているんだね」
「うん」
ママが黙って出たのが悪かった。
ママが帰ったらけんちゃんが泣いて
怒ったことをちゃんと伝える。
だから今日はママが帰ってくるまで
みんなと一緒に待とうねーー。
そう話すとけんちゃんは泣き止んだ。
お母さんが黙って出たことに怒っていた。
その気持を汲んで、それをちゃんと
お母さんに伝えると話したら泣き止んだ。
1歳8ヶ月だけど、話せばわかるのだ。
1歳8ヶ月でも言い分がある。そのことが私はそのときわかりました。子どもの話をちゃんと聴き、子どものいいたいこと、いってみたら気持ちを翻訳する、そのことが子ども相談ではとても大事なことだと気がつきました。そのことを心がけるようになると、子どもが次々おもしろい顔を見せてくれるようになりました。
このけんちゃんは、私にとってある意味で師匠です。なにかのときに、けんちゃんの泣き顔と情景がいまでも思いだされます。
年齢の問題じゃない。
そして子どもの話をちゃんと聴き、
いいたいことを翻訳する。
そうすることの大切さ、
ということを改めて思った。
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さて。以下はお知らせです。
僕がお手伝いをさせてもらっている
「川崎の親子を考える会」のセミナー
『親子で”ちゃんと”会話してますか?』
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テーマは親子のコミュニケーション。
会場+オンラインのハイブリッド開催です。
子どもの話を聴くコツが聞けます。
よろしければ是非。
https://kawaoya20201128.peatix.com/
今日も良い1日を。
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とても大切なお話だと思います。ご紹介ありがとうございました。内田先生の本、注文しました。
自分もかつて子どもだったのに、大人になると子どもの頃の気持ちを忘れてしまう。
1歳8ヶ月でも話せばわかる。
田中先生、コメントありがとうございます!
そうですよね、大人になると子どもの頃の気持ちってすっぽり忘れてしまうんですが、このエピソードは頭にガツンと来ました。