15歳が自分で見つけたところに意味がある

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「お父さん、僕ね、
金儲けの虚しさを知ったよ」

唐突にゲーム好き15歳が話しかけてくる。

「どれだけお金があってもさ、
そういう問題じゃないって気づいたんだよ」

ほう。なんか杜子春みたいな話だな。

「どうしたの?」と僕。

「ほら、僕って大金持ちじゃん?」と忍介。

「知ってる。ゲームの中では、でしょ?」

「正解。でさ、思ったわけよ。
どれだけお金があって、豪邸建てて、
会社作って、戦闘機買って乗り回してもさ、
――楽しくないと意味がないって」

「楽しくないんだ」

「だってさ、豪邸建てても、
呼ぶ友だちもいないしさ、
お金どんだけ使っても楽しくないんだよ。

ゲームのバグで大金稼いじゃったんだけど、
やっぱり銀行強盗の方が楽しかったんだよ。

銀行強盗という行為が楽しい。
計画して実行していくことが楽しいから
やるのであって、お金が目的じゃない」

「なるほどね」

「馬鹿でかい豪邸も要らないんだよ。
家は自分の心の広さに合わせた方がいい。
あの豪邸は、僕の心には広すぎるんだよ」

「そうか。なら、神奈川県川崎市の
このリアルな我々の住まいは、どうなの?
君の心の広さに対しては?」

「そだねー。ちょうどいいかもねー」

起きてる間中、ほぼずっとゲームか
You tubeで過ごしている忍介。

でも、彼くらい真剣にやり込むと、
いろいろな教訓も出てくるみたいで――。

今回忍介が気づいたような教訓って、
子どもに向かって大人が言うと、
途端に説教くさくなる類のものだと思う。

15歳が自分で見つけたところに、
割と意味があるような気がした。

そんなある日の親子の会話。

毎度ながら、備忘録として。

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。