湘南国際マラソン2023完走記

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30km地点の青い計測マットを踏んだとき。

「今日は勝った!」と思った。

ジャスト3分、その時点で
予定よりも速く走れていた。

つまり、このままのペースで行けば
3時間57分より速くフィニッシュできる。

脚はすでに棒になりかけていたけれど、
それでも1km5分30秒くらいで
コンスタントに走れている。

調子は決して良いわけじゃないけど、
なんせ気力は十分にみなぎっている。
経験的に言って今日は大丈夫なレース、
のはずだった。

と・こ・ろ・が!

ところが、ところが、だ。

まったく思いもよらない悪夢が起こる。

31kmのところで、
激しい便意が込み上げたのだ。

突然のことでまったく意味がわからない。
そしてあまりにも強いので走れない。

夏場に水分がぶ飲みしすぎて走ってる間に
便意に襲われたことは何度かあるけれど。

冬場のレースで「大」をしたことなんて、
これまでの人生で一度もない。

まったく想定外だし、あまりにも突然だ。

そして見渡す限り近くにトイレはない。
かなり絶望的な状況だ。

「トイレこの先600m」

という看板が見えただけで、
もうその場にうずくまってしまいたい。

脂汗が出る思いで、
ソロリソロリと徐行する。

這うようにしてトイレに飛び込んだ。

・・・・・(中略)・・・・・

ロスした時間はちょうど3分くらい。

その前に便意こらえて徐行したため
1km近くスピードも激落ちした。

ああ、もう4時間は切れない。
完全にポッキリ心が折れた。

徹夜で仕上げた資料、保存して
プリントアウトしようとした途端に
PCがフリーズして全部ぶっ飛んだ。

そんな気分だった。

あまりにも、あまりにも理不尽だ。

これまで丁寧に丁寧に積み上げてきた
30個以上のラップが無になった。
ぜんぶパーになった。
それも「便意」なんかのせいで。
まったくバカみたいな話だ。

――でもここでひとつ、
抜群に効果を発揮したことがある。

昨日のブログに自分のゼッケンNo.と
ランナーズアップデートを載せたことだ。

しかもサブ4を高らかに宣言している。
かなり強めに、格調高く。笑

だからもしかして僕の途中経過を
リアルタイムで見てくれてる人が
中にはいるかも知れない。

「すみません、”大”問題のせいで
サブ4惜しくも無理でした。てへ♡」

と報告すれば、きっとみんな
ねぎらってはくれるだろう。

でもそれは自分に対する負けだ。

残り10km。

3時間59分台で飛び込むためには
少なくとも1分以上は詰める必要がある。

落ち着け。ヤケになるな。
計算しろ。

1kmあたり10秒ずつ詰めれば、
10kmで2分近く詰めることになる。

まだ諦めるな。その10秒を削り出せ!

気持ち奮い立たせて再び
キロ5分20秒切るペースで走り出すも、
なんと、なんと、またも、またも試練が!

コースは防風林を出て海沿いになった。
その途端に強風の向かい風が僕らを襲う。

1kmあたり10秒詰めなきゃいけない。

なのにこの盛大な向かい風の強風だ。
これが流水プールを逆走するくらい、
思い切り消耗する。

ギアを5段も6段も上げなきゃいけない。
そして脚はもう絶賛売り切れだ。
まったくバネが効かない。

完全に気力勝負になった。

ランニングフォームはまったくもって
デタラメで、そのくせ息も上がる。

支えるものはただ意地だけだった。
頑張れ負けるな一辺倒のザ・体育会系だ。

苦しいの辛いの、飛んでけ飛んでけ!
苦しいの辛いの、飛んでけ飛んでけ!

脳内でひたすらマントラを唱える。
ずっともがき苦しむ時間が長く続く。

でもその時間も永遠には続かない。

40km手前でコースが再度折り返しになると
向かい風は強烈な追い風に変わった。

ものすごく楽になったと感じた瞬間、
気分は恐ろしく獰猛になる。

脳内でアドレナリンがスパークした。

残り2km、ほぼ全力での
ラストスパートをかける。

一緒に走っているランナーたちが
ギョッと振り返るくらいのスピードが出た。

GPSウォッチのラップでは最後の最後、
キロ4分37秒まで上がっていた。

結果、グロスでは18秒超えちゃったけど、
スタートラインを超えてからのネットでは
3時間57分51秒だった。

もちろんベストタイムには程遠い。

でも狙ったタイム通りに走れた、
という意味では、ベストを出した
7年前の湘南国際以来だ。

じんわり勝利感も湧く。
LLサイズの生ビールで一人乾杯した。

昨日ランナーズアップデートを
見てくださった方々、
ありがとうございました。

みなさんの存在を想像することで、
残り10kmの試練、どうにかこうにか
乗り切ることができました。

そして昨日走ったみなさん。
沿道で応援してくれたみなさん。
スタッフボランティアのみなさん。

本当にありがとうございました。
おかげさまで苦しくも、最後は
楽しい大人運動会になりました。

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子の忍介は書字の学習障害と軽度の発達障害があり、小学三年生の時に不登校になりました(現在19歳・忍者好き)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。