二人で一人の仮面ライダー

決戦の朝が来た。

今は午前5時30分。
世界はまだ寝静まっている。

さあ始めるぞ。

泣いても笑っても今日の17時までに、
インタビュー事例集のゲラを出力して、
絶対に郵便局から発送するのだ。

こういうとき、
必ず起きるのがプリンターの不調だ。

だが今回は一味違う。

なんてったって予備の
ポータブルプリンターが加わっている。

A4しか出せない。でも非常事態には
最悪コイツを出動させることもできる。

確認した。インクの予備も十分だ。

昨日までのところ、うちのプリンターくんの
ご機嫌は悪くない。むしろ好調だ。

僕に関して言えば体調は申し分ない。

うちの奥さんと僕は
基本的に昼夜２交代制なので――。

気配からして彼女はたぶん
さっき寝たくらいなんだと思う。

鬼編集長なんて冗談めかしているけれど、
僕らこの事例集を作ることに関しては
本当にいいコンビだと思う。

彼女のインタビュー・聞き出す力は、
身内贔屓を引いても上手いと思うし、
僕の書き起こしと編集の地味な作業を
続ける根気と集中力は、
自分で言うのもナンだけど悪くない。

そして編集の最終工程。

ここが一番のアドレナリンどころだ。

鬼編集長の着眼点と構成力と粘りが
毎度毎度、本当に素晴らしいので、
正直もういいじゃん、と思うところも
徳俵ひとつで二人で踏ん張り続ける。

そして今、最後の踏ん張りを迎えている。

昔――もう10年以上前の話だけど、
忍介が幼稚園だったころ
「仮面ライダーW」をよく一緒に見た。

今をときめく菅田将暉くんのデビュー作で、
「二人で一人の仮面ライダー」
というコンセプトが新しかった。

二人で変身して、
一人の仮面ライダーになって戦うのだ。

びーんずネットの編集に関して言えば、
僕ら二人で一人の仮面ライダーだと思う。

これから相棒が入れた赤字をチェックして、
猛然と発送作業して、17時目がけて何回、
全体を直せるかのトライアルに入ります。

サイクロン、ジョーカー（仮面ライダーW）

これで決まりだ！

今日も良い1日を。

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