への字口に幸多かれ

昨日は電車に乗って都心に出た。

月に一度の「鍼」の日なのだ。
マラソン走るようになって以降、脚を中心に
定期的にメンテナンスをしてもらっている。

もうね、会社員辞めてからというもの、
放っておくとこの月一の鍼のときくらいしか
電車に乗らない。

なので電車乗ること自体が新鮮なんだけど、

（姉さん、事件です！）

昨日の向かいに座った男性は
なかなかにすごかった。

年齢は40代後半くらいかな？

なんせネガティブオーラが全開なのだ。

眉間に深く宿命的に刻まれた二本のシワ。
すべてを疑うような薄い半開きの両目。
重力でズリ落ちそうな二本のほうれい線。

そして「への字口」の頂点は今にも鼻に
突き刺さらんばかりに燦然と尖っている。

まるで梅干し30個をジョッキ一杯のお酢で
無理やり飲み下した松重豊みたいだった。

もうこの世の全てが気に入らない。
そう言わんばかりの表情。

そんな顔で昼すぎの東急大井町線の
座席にずっと座っているのだ。

空はこんなにも高く晴れて、
蝉たちは楽しく歌っているのに、
への字口鼻に刺して、世界中の不機嫌を
ブラックホールのように吸い込んだまま！

たまらず僕の心の中の藤井郁弥が歌い出す。

神様ストップ！ストップ！ストップ！ストップ！
ストップ！ストップ！ストップ！ストップ！
口角上げなきゃあんたはずうっと呪われたままさ

今すぐストップ！ストップ！ストップ！ストップ！
ストップ！ストップ！ストップ！ストップ！
悲しい「への字」のさだめ〜♪

という、まあしょーもない
懐かしの80年代はこれくらいにして。
（団塊ジュニア世代限定だね）

気になって気になって気になって気になって
何度も何度も何度もチラ見してしまった。

何が言いたいか？

笑顔大事だねー。いやぁ、本当に……。

もうそれに尽きる。
身に染みて思った。

見てるだけで痛々しかった。

僕としてはただただもう、
あの御仁が不機嫌の呪いを解かれて
素敵な口角を取り戻す日が
あることをひたすら祈るだけだ。

本当に直前に梅干しとお酢を大量に
飲み下しただけなら良いのだけど、

まあ、その推理にはやっぱり
相当な無理があるよね。笑

への字口御仁に幸多かれ。

今日も良い1日を。

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