ちょうど46歳になる2018年の2月。
その直前の1月末に会社を辞めた。
次の転職先が決まっていた訳じゃない。
でも続けることは出来なかった。
本能が「とりあえずヤメロ」と叫んでいた。
この自分の本能に素直に従わないと、
かなりマズイことになりそうだった。
まず一旦辞める。話はそこから。
ということで1も2もなく辞めたのだけど、
まだ僕はどこか、楽観的に考えてもいた。
さすがに46歳で無職になれば、
残念ながらもう殆ど「次」はない。
それが転職市場の冷厳な事実だ。
でもフリーランスでなんとかなるだろう。
俺っち文章書くのは得意だし、
WEBライターとかいいんじゃない?
そう甘く考えていた。
会社を辞めてまず最初の2月は1ヶ月間、
簿記3級の勉強をすることにした。
50時間勉強すれば合格できるらしいし、
フリーランスでやっていくなら
まずは経理の知識は必須だよねと。
でもって自分で言うのもナンだけど、
ペーパーテストは強いんだよね、俺っち。
1ヶ月しっかり独学で勉強して
翌月の試験でめでたく合格した。
ただWEBライターの仕事には心底参った。
吉祥寺駅をテーマに「北口商店街」
「サンロード」「美容院」という
ワードを混ぜて500字のエッセイを書け、
というお題だった。
いわゆる「SEO対策」用の雑記事だ。
吉祥寺には長く住んでいたので
試しにやってみたのだけど、これがマア!
「全然、書けない」
それでも4時間かけてなんとか提出した。
にも関わらず、なんと「不採用」になった。
「不採用? オレ様の名文が、なんでだよ?」
そして思い知った。
自分は根本的にライターには向いてないと。
なんせ自分の興味の湧かないこと、
そもそも人から指示されて文章を書くこと、
それがからっきし出来ない人間なのだ。
今はどうか知らない。
でも当時はいろいろ調べてみても、
WEBライターの世界では1文字1円
稼げればマシなほうらしかった。
「ってことは?」
あの吉祥寺駅の500文字の雑文、
4時間かけて書いて報酬は良くて500円。
時給125円……にすらならなかった。
なんせ不採用だったんだから。
もし採用になったとしても、毎月毎月
何十万字も書くなんて俺にはできない。
「どうしよう……」
軽くそう絶望していた時だった。
うちの奥さんが不登校をテーマにした
セミナーを開くという。
「へえ。不登校ねえ」
ゲストはスクールの保護者仲間だった
コピーライターの蓑田雅之さん。
いろいろ手伝ってほしい、と頼まれた。
「ガッテン承知!」
チラシをデザインして印刷。
WEB申し込みフォームを作って告知。
なんせ純ちゃん、20年間
マーケティング畑一筋でやってきたんでね。
集客やPRは任せてくださいな。
完全に「手伝い」のつもりだった。
そうして迎えたセミナー当日。
「学校って本当に必要なの?」
というセミナータイトルも秀逸だった。
狭い会場に15名の方が集ってくださった。
そして蓑田さんの話が一区切りついたあと。
参加者同士、感じたことを
「シェア」しあう時間になったとき――。
驚きの瞬間が訪れた。
場が沸騰した。いや、爆発したのだ。
ものすごいパワーが会場に漲った。
話し合う参加者同士の熱気に圧倒された。
見ていて涙が滲んだ。
「ああ、これだ!」
そう思った。
最初に会場に来たときのみなさんの顔。
最後に会場を後にするときのみなさんの顔。
それがまるで別人のようだった。
誰もが嘘みたいにカラッと明るくなってた。
もはや魔法そのものだった。
同じ思いを持つ仲間と出会い、
仲間と思いを互いに共有し合う。
ただそれだけのことが、
こんなにも大きな化学反応を呼び起こす。
言い方は不謹慎かもしれない。でも
「こんな面白いことって
他にないんじゃないか?」
心からそう思った。
俺がやりたいこと。
それは誰かに指示されて、言われた通り、
思ってもいない文章を書くことじゃない。
ささやかながらも困ってる人を笑顔にする、
その役に立つことがしたい。
心からそう思った。
だから「びーんずネット」を
仕事にすることにした。
もちろん、不登校のセミナーだけで
食っていくことなんて出来ない。
でも他にやりたいことなんてなかった。
もうびーんずネットしかやりたくなかった。
というのが、長くなってしまったけど
僕の「始まりのストーリー」だ。
ここ数日、やけっぱちみたいな
記事ばかり書いていて、正直
自分でも気分が良くなかった。
だから自分の原点をもう一度、
しっかり思い起こしてみよう。
そう思って改めて書きました。
困ってる人を明るい笑顔にしたいんです。
ちなみにここまでで1630字。
ってどうでもいいけど。笑
ああいうSEO対策用の記事みたいなのって
きっとAIに仕事どんどん取られていくよな。
今日も良い1日を。
P.S.
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