リスクばかりが強調され、忌避される教育と価値観

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とっても考えさせられる記事だった。

40年前、桃野さんが小学4年生の時だ。

運動会の「5本綱引き」
というクラス対抗競技があったという。

5本置かれた縄をヨーイドンで奪い合い、
3本自陣に取り込んだ方が勝ちになる。
そういう綱引きだ。

単純な力勝負だけじゃない。
奪い合う縄がある一方で、足の速い子が
一人で縄を持ってってしまうこともある。

ただ桃野さんのクラスはあまりに弱すぎた。
予行演習で延々、他のクラスに負け続けた。

悔しいあまり、桃野さんは
運動会の前日のクラス会で提案をした。

このままでは勝てない。
だから作戦を決めよう、と。

どういう作戦か?

2本の縄は最初から無視するという作戦だ。

5本のうち3本自陣に持ち込めば勝てる。

だから最初から3本に人数を集中させる、
という提案にクラスは大いに盛り上がった。

ところが――。

「卑怯な作戦を考えるな!」

と担任の先生に一喝されたという話だ。

途中の「キスカ島撤退作戦」の話は
まあ、いいとして。

くだんの先生が一喝した理由は

「そんな作戦で勝つ子どもたちをみて、気分を悪くするお父さん、お母さんがいたらどうするんだ」

というものだった。

はあ?

という話だけど、続きがある。

僕が共感したのはこのくだりだった。

そしてこのロジック、多くのビジネスパーソンにとっても、聞き覚えがあるのではないだろうか。
「万が一失敗したら、責任を取れるのか」
「そんなことして、気分を悪くするお客様がいたらどうするんだ」

思えば私たちオッサン世代は、このようにリスクばかりが強調され、忌避される教育と価値観の中で仕事をしてきた。
そして大手マスコミも、失敗はどんな小さなことでも徹底的に叩き続け、「歪んだ批判文化」が社会に根づく国になった。
こんな社会では、リスクを取ることは全否定され、リターンに目を向ける人材が育つ訳がないではないか。

かくして日本は衰退し、「失われた30年」を経験しているという仮説は、あながち的外れなものではないだろう。

いや、本当にそうだ。

リスクばかりが強調され、
忌避される教育と価値観。

確かにそういう中で
僕らオッサン世代は育ってきて、
そういう中でずっと仕事をしてきた。

「10,000円儲かっても、100円のコストがかかるならやるな」

こう書くと笑い話だけど、でもこれ、
会社員なら多かれ少なかれ意外と
「あるある」の話じゃないだろうか?

リスク避けてたらリターンはない。
当たり前の話だ。理解はしている。

でもやらない。やれない。
そして逃げる。目を逸らす。
なんなら見なかったことにする。

「まったく最近のオッサンは・・・」と若い世代に見限られないためにも、心当たりのある人はぜひ、自分のリーダーシップを見直して欲しいと思う。
責任を担う覚悟がなく、またリスクを取る意志のないリーダーなど、年を食っただけで幼児性の抜けない、無能な40歳児、50歳児である。

耳が痛すぎる……。

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。