匿名的でありたい

 

 

ランチを食べに行く、近所にある
ラーメン屋さんは主に二つある。

どちらもチェーン展開のお店で、
ラーメン屋Aは、元気な接客のお店だ。

ラーメン屋Bは、まあ普通のお店だ。

ランチを食べるラーメン屋では、
僕は匿名的な存在でありたい。

「匿名的な存在?」

ってかっこよく言いすぎた。

簡単に言うと、特に気を遣ったり
構ってもらわなくていい。

要はさっと20分で食べて出て行きたいのだ。

A店では店員は威勢よく
大きな声でハキハキ声を上げる。

「いらっしゃいませ、お客さま!」
「いらっしゃいませ、お客さま!」

入るとスタッフたちが口々にそう叫ぶ。
でもいちいち客には別に構わない。

一方でB店は威勢のいい声かけは特にない。

だた中に一人だけ、

「接客が天職」

としか思えないくらい、フレンドリーで
めちゃくちゃ気が利くスタッフがいて。

実はこの天職さんが何気に苦手だ。

とにかく、お店で働くことが大好きで、
そのオーラが全身から滲み出ている。

そして、死ぬほど愛想がいい。
それも絶対に演じているわけじゃない。

ホテルマンもかくや!

と思っちゃうくらい、
とにかくホスピタリティーの塊なのだ。

羽根つけて鼻歌歌ってるように
いかにも気持ち良さげに軽やかに
店内ところ狭しと行き来する。

そして背中に目がついてるんじゃないか、
と思いくらい四方八方目配りも忘れない。

いや、もう本当に天職なんだろう。

傍目にも他の店員とは別格の働きをしてる。
動きの質も明らかにレベルが違う。
シャア専用ザクみたいだ。

あんまり頻度高くB店に通うとそれこそ
天職さんに顔を覚えられる危険がある。

だからコロナの頃から何年も慎重に
ローテーションには気を配ってきた。

だがしかし!

油断してこの夏、隔週で行ってしまったのは
純ちゃんさすがに誤りだった。

昨日で明らかに天職さんに顔を覚えられた。

「いらっしゃいませ、おひとり様ですね?」

ニッコリ笑顔で迎えてくれるのだけど、
いつもより親密感が5割増しになっていた。

しまった、覚えられちゃったじゃんか!

いや、小さな居酒屋なんかで
顔を覚えてもらうのはいい。

でもここはしがない小市民がそそくさと
ランチを食すハードボイルドなラーメン屋。

そのホスピタリティーは正直、
どちらかと言うと僕には重い。

むしろ威勢だけは良いけれど、
客一人一人のことは特に見てない、
A店の方が気楽だと言いたい。

わかるかな、この気持ち。

決して天職さんを非難してるとか、
嫌ってる訳じゃないので悪しからず。

そんなこんなを思っていたら、
小さなお子さん連れのママに

「すぐ小さな取り皿もお持ちしますね!」

と天職さんが声をかけていた。

別のスタッフが配膳した卓だけど、
さっとテーブルの上の状況を一瞥して
すかさずそう声をかけるのだ。

まったくなんたるホスピタリティー!!!

まるでホスピタリティーモンスターだ。

そんな心温まるシーンを見ながら
僕は僕で野菜タンメンを粛々と食べる。

(昨日は冷やし中華の誘惑は断ち切れた)

コップの水をごくごく飲んでいたら、
な、な、な、なんと!

「はい、おかわりどーぞ」

音もなく忍び寄っていた天職さんが
僕のテーブルに水を置いてくれたのだ。

「あ、ありがとうございます……」

チーン。完敗。

っていったい何に?笑

何度も言うけど別に嫌な訳じゃないんです。
決してそうじゃない。

ただただランチでは匿名的でありたい。
本当にただそれだけなんです。

なんで俺、こんな力説してるんだろう?笑

(3ヶ月くらいB店はローテから外そう)

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。