それなら私は死ぬしかないってこと?

 

 

 

「あーあ なんかもう……
死にたいかも」

ある日、小学5年生の真奈が呟いた。
それが突然の不登校の始まりだった。

母親の千紗は困惑しつつも奔走する。

夫は単身赴任中。
自分がなんとかするしかない。
担任との面談。
真奈の親友のママ友たちに聞く。

それでも原因はわからない。

まさか自分の子どもが
不登校になるなんて――。

その事実を受け入れることができない。

千紗は不登校の親の対応をネット検索する。

無理矢理行かせない。
問い詰めない。
親は明るく前向きに過ごすこと。

千紗はそう心がけてみる。

ほんの少し風邪が長引いてるだけだと。

そうこうしているうちに、
親友二人が家を訪ねてきたのをきっかけに
突然また真奈は登校した。

ただ、喜びも束の間。

帰ってきた真奈は暴言を吐くようになり、
部屋に閉じこもる。

千紗はますますわからない。

「私がなんとかしなくちゃ」
あがけばあがくほどトツボにハマる。

もうこの過程と千紗の心情がリアルすぎて。

一気に30分で読んでしまった。

学校へ行けない娘と、支えきれない母親。
母娘の逃げ場のない日々を描く、
痛切なセミフィクションだ。

「これ、一番やりがちな勘違いだなあ」

と僕が思ったのが、千紗が
不登校の親の会に参加した後のことだ。

「ずっと不登校だった娘が専門学校で
免許を取って調理師として就職しました」

そんな先輩ママの話を聞いて千紗は
「夢中になれるものがあれば」と納得。

ネットで検索すれば不登校だった作家や
不登校だった漫画家もたくさん見つかる。

「学校に行かないからこそ、
できることが真奈にもきっとあるはず」

学校に行かない時間。
それは子どもの「チャンス」を
広げる時間なのかも。

そう思って千紗は真奈に働きかける。

「ねえ、絵を描くのはどう?」

「SNSで発信すれば
世界中の人に見てもらえるよ」

ああ千紗さん、それ一番アカン奴だよ!

純ちゃんの心の声が届く前に
無情にも真奈は静かに言い放つ。

「それってつまり
何かを頑張らなきゃ
生きてちゃいけないってこと?」

「えっ……?」千紗はたじろぐ。

「それなら私は死ぬしかないってこと?」

ココなんだよな。ココ。

学校に行かないのはわかった。

じゃあこの学校に行かない時間、
何に夢中になるの?
調理師になる? 漫画家になる?
フリースクールに行く?

要するに、何かに夢中になってほしい。
不登校でも頑張って何かをしてほしい。

そういう親の下心はミエミエなんだよね、
子どもには。全部。

そしてそれは親の「評価」のまなざしだ。

何かを頑張ってるあなたはOK。
だけど何も頑張ってないあなたはダメ。

そう言っているのとまったく同じこと。
そこに気づいていないと

「じゃあ私は死ぬしかないの?」

という親には想定外の返しがくる。

無理くりのポジティブは本当に意味がない。
上っ面の「わかったふり」はむしろ害悪だ。

このシーン、なんかそれを
めちゃんこリアルかつシンプルに
表していてよかった。

そして物語は真奈サイドの
「謎解き」もまぜながら、
どんどんダークで
救いのない方向へ流れていく。

「あなたが学校に行かないせいで
ママがどれだけ毎日疲れているのか
わからないの?」

ついに言ってはいけない言葉を
真奈に向かって叫んでしまった千紗。

ここに至ってようやく
本物の気づきの瞬間が千紗に訪れる。

どうしてこんなことになってしまったのか。
誰のせいなのか、何が原因なのか。
何もわからない。

でもひとつだけはっきりとわかる。

最後に娘を追い詰めたのは自分なのだと。

この辺りは本当に読んでいて胸が痛い。

でも母と娘がお互い本当の胸の底の
ナマの本音をぶつけ合い、
傷つけあったからこそ――。

そこから少しずつ、本当に少しずつ、
希望の光が見え始めてくる。

やっぱり物語形式で描かれているぶん
感情移入もしやすいし、
母と娘双方の視点から見ることで
不登校のリアルが立体的に浮かび上がる。

さらっと読めるけどすごくよかった。

ねえ、本当に。

最後に掲載されているNPO法人カタリバの
今村久美さんの解説の言葉通りだと思う。

出口の見えない時間を歩いているように感じても、どうか一人で抱え込まないでください。不登校は「止まること」ではなく、「当たり前をとらえ直し、多様な道を探す時間」でもあります。
(中略)
不登校は「こうすれば必ず解決する」という処方箋はありません。だけど、大丈夫です。
あなたとお子さんの笑顔の日々を、真奈ちゃんママも、全国の先輩たちも、私も、心から応援しています。

純ちゃんも川崎から静かに応援してますよ。

今日も良い一日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在21歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。