「努力をすれば物事は必ず解決できる」
「常にPDCAサイクルを回して改善!」
そういう経験が豊富だと、逆に難しい。
なんの話か?
自分の子どもの不登校を
受け入れることについてだ。
原因を特定し、
適切な対策を施せば解決できる。
普通はそう考える。
そうですよね?
特にビジネスではPDCAは大切な視点だ。
でもその発想が、こと子どもの不登校では
まったくと言っていいほど機能しない。
そして機能しないことに気づくまで、
結構な時間がかかる。
かく言う僕もそうだった。
ずっと気づかないままの親も多い。
だから子どもが学校へ行かないことを、
弱さや怠けと捉えてしまう。
「このままだと将来ひきこもりになります」
「見守っているだけじゃ解決しません」
そんな煽り文句に焦りをつのらせてしまう。
「原因を特定し、
適切な対策を施せば解決できる」
確かに世の中、そういう側面は多い。
でも繰り返しになるけれど、
こと子どもの不登校はそうじゃない。
そうじゃないということをまず認めること。
それがそもそもの
スタート地点だったりする。
そしてこのスタート地点に立つこと。
それは思いのほか苦しい。
結局のところ――。
親になんとかできる余地はほとんどない、
と認めることになるからだ。
「原因を特定し、
適切な対策を施せば解決できる」
という、自分が慣れ親しんだ世界。
そことはまったくベクトルの違う世界に
足を踏み入れなければならない。
だから多くの親は不安と恐れを感じる。
大海原にイカダひとつで取り残された気分。
そして日はとっぷり暮れてしまっている。
見渡す限り光は見当たらず、
どこにも誰にも助けを求められない。
なにより、
西から上ったお日様が東へ沈む世界だ。
そして自分は完全に無力だ。
その、やるせなさ。不安。
見通しのきかない怖さ。
それが親を何重にも苦しめる。
でも何度も何度も繰り返し
ここで書いていることだけど。
親である自分がなんとかできる。
親である自分がなんとかすべき。
そう考えることは、
ある意味傲慢でもある。
確かにあなたはビジネスの場では
鮮やかに数多くの問題解決をしてきた。
論理的で分析力も高い、優秀な人だ。
ただしそれは不登校には通用しない。
以前、ある不登校の講演会の質疑応答で
最前列に座っていた年配の男性が
言い放った言葉を思い出す。
孫の不登校が心配で参加したとのこと。
でもなんら得るところはなかったらしく、
大きな声でこう吐き捨てた。
「結局黙って見守れってことだけなの?
これだけ沢山の子が不登校になっていて、
あんたら何のノウハウも持ってないの?」
「見守れ見守れって、そんな単純な話、
誰にでも言えることじゃない?」
そう憤る気持ちもよくわかる。
でもそれが不登校なのだ。
助手席に座って横から強引に
ハンドルに触ろうとするのではなく。
大船に乗った気分で後部座席で昼寝する。
ある意味そんな東洋的というか、
仙人みたいな態度のほうが、
ロジカル会社員よりもうまく行く。
そういう世界もあるのだ。
ようこそ、不登校生の親という、
未知なる複雑怪奇の世界へ。笑
そう、ここでは太陽は西から上る。
あなたの長年の経験も常識も通用しない。
まずはそれを認めましょう。
時間もかかります。簡単じゃないです。
でもせっかくなのでね。
できれば楽しみましょう。
ここはあなたの人生の視界を何段も
引き上げてくれる修行の場でもあります。
楽しむコツ?
まずはたくさん情報をとること。
同じ境遇の人と繋がりを持つこと。
……じゃないかな。
「覚醒」できるとさらに楽しくなりますよ。
今日も良い1日を。
P.S.
不登校についていろんな書籍を作っています。参考にしていただければ。
記事を読んで何か感じることがあれば、ぜひコメント欄にご意見やご感想をお寄せください。
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