監督ではなく伴走者

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読もう読もうと思っていて遅くなった。
NPO法人カタリバ代表理事の
今村久美さんの書いた本、

『NPOカタリバがみんなと作った
不登校ー親子のための教科書』

を今朝読んだ。

もう、タイトルそのまんまの内容で。

まさに「教科書」と謳うにふさわしい、
非常にていねい、かつわかりやすく
情報が整理・網羅されている本だった。

特に不登校歴の浅い初期段階の人には
良い「ガイドブック」になると思う。
よろしければぜひ。

ここから先は決して
ケチをつけるわけではないのだけれど――。

ケチをつけるわけではないと
心から前置きした上で、
ごくごく個人的な感想を少しだけ。

読み進めるにつれ
感じたことがひとつあった。

いわゆる「情報」、たとえば

「こういうときはこう考えたらいい」
「こういう相談窓口もある」
「進路の選択肢としては」

というような話が続くと
どうしても単調になりがちだ。

だからだと思うのだけど、
ところどころ、コラム的に
「不登校解決へのケーススタディ」
が掲載されている。

やっぱりこの「実例」が一番、
心に入ってくるんだよね。

それはしみじみ思った。

そういう意味で今、自分達がやっている
インタビュー事例集の活動について
改めて意を強くする思いがした。

もうひとつ。

「こうしたらうまくいった」

という話は結局、人それぞれだ。

そうですよね?

それよりも、

「今考えればあれは良くなかった……」

という失敗談の方が、より普遍的で
ためになるというか、役に立つというか。

そんなことを感じながら
読み終えたのだけど、、、

実はこの本の中で一番印象に残ったのは、
あとがきに書かれた今村さんご自身の
失敗体験のことだった。

どんな体験か?

出産1ヶ月前まで全国を駆け回って
仕事に没頭していた今村さん。

ただいざ実際に子どもが産まれてみると、
周りとの比較でつい焦りが生じてしまう。

気づけば子どもが小学校に入学する前から
必死になって早期教育を強いていた。

毎朝5枚、毎晩5枚のプリントが日課。

今村さんは、当時のことを
母親ではなく「監督」になっていた、
と振り返る。

「どうしてやらないの?」
「どうしてまた間違えるの?」

叱られてばかりだった息子さんが
「どうせぼくはバカなんだ」
と泣くようになって、ようやく気づいた。

自分の役割は「監督」じゃない。
この子が安心して生きていくための
土台をつくることのはずだ、と。

これは、NPO法人カタリバを立ち上げて12年目だった私の失敗体験。
外側から教育を語るよりも、実際の子育てははるかに難しいと知った経験です。
焦りや葛藤、人との比較、つらい思いをしてほしくないという先回り、そして思い込みによる数々のバイアス。これらを取り除くことは、本当に難しいです。(略)

まだまだ分からないことばかりで、親として悩むことばかりです。でも、失敗を経て、ひとつだけ確信できるようになったことがあります。
それは、母親は“監督”ではなく“伴走者”だということ。
いつの日かしっかりと自立できるように、ときに背中を押しながら、ときに丸ごと受け止めてやりながら、ものの善悪も伝えつつ心の土台がしっかり育っていくように、一緒に走ってやれたら、それが何よりです。

でも、ひとりで伴走するのは孤独です。伴走者にも伴走者が必要です。
たくさんの人とお互いに伴走しあいながら、みんなで一緒に走っていけたら、それが一番幸せ。
そんなことを考えながら、私は今、ぼちぼちと母親をやっています。

いや、本当にその通り!

お互い伴走し合いながら、
一緒に走りましょう。

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。