高校生の頃から
ベートーベンの第九交響曲が好きだった。
忍介が生まれる前—。
渋谷へN響の第九を聞きに行って、
そのあと鮨屋へ行くのが僕ら夫婦の
毎年のクリスマスの過ごし方だった。
年末に第九、っていうのは日本だけらしい。
でも、いいものはいい。この時期になると
無性に第九が聞きたくなる。
うちの奥さんは心理学のセミナーだし、
忍介は一人で映画を見に行った日曜日、
ひとりきりの午前中。
でも、本当にいい時代だと思う。
コンサート会場に行かずとも、
カラヤンの第九が簡単に見られる世の中だ。
という次第で見た(聞いた)。
雷鳴轟くような第一楽章。
リズミカルで心が弾む第二楽章。
とっても美しいんだけど、
ちょっとだけ退屈な第三楽章。
そして嵐と歓喜の第四楽章。
本当によくできていると思う。
ぜんぶ良いと思うんだけど、
第四楽章で特に僕が好きな部分はここ、
テノールのマーチが終わってからの部分だ。
(動画で言うと52分4秒くらいから)
圧巻のオーケストラ。
嵐のようなすさまじいリズムと転調。
綾なす旋律が複雑に絡み合い、
めくるめくように展開する。
とても聴覚に障害があったとは思えない、
見事すぎる躍動のハーモニー。
鳥肌が立つ。最高にカッコいい。
そしてこの部分を聞いていると、
なんだかベートーベンの生涯
そのものみたいに思えてくる。
第九、っていうとなんだか
俗っぽい印象があったりしませんか?
でももしこの紹介で興味を持ったなら、
全部じゃなくても良いので
ぜひ一度、聞いてみてほしい。
ちなみに、以下はマメ知識。
*CDの記録時間が74分なのは、
第九の演奏時間が70分くらいだから
ということらしい。
*なんで記事のタイトルが
「風呂出で詩へ寝る月照る粉健」なのか?
昔、向島の芸者さんたちが
第九のメロディーをこうして覚えたそうだ。
Freude, schöner Götterfunken
フロイデ シェーネル ゲッテルフンケン
なかなかの当て字だと思いませんか?
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