仕事がらみの関係で、都内ホテルでの
とある立食パーティーに参加した。
すると、見覚えのある顔がいた。
ヨシノさんとタンノさんだ。
いずれも、僕が新卒で入社した会社で
お世話になった人だ。
タンノさんとは一緒のチームだったし、
ヨシノさんと同じプロジェクトを担当した。
懐かしいとは思った。
けど、僕も若かったし、思うところあって、
実はその会社の人たちとの連絡は
同期を含めて退職後に一切絶っていた。
タンノさんはその後何年か年賀状をくれた。
でも僕から送ったことはない。
もちろん、二十何年も前の話だ。
別に隠れる必要はない。
「頃合いを見て挨拶しよう」
そう思ってタイミングをはかっていた。
突然、耳元で声がした。
「カネジュン、変わらないよねー!」
振り向くとフルートグラスを持った
ヨシノさんが笑顔で立っていた。
そう、あの頃僕は
「カネジュン」と呼ばれていたのだ。
後ろの方でタンノさんが
遠くから僕に大きく手を降っている。
なんだかバツが悪い。
「あ、お久しぶりです。
ヨシノさんもお元気そうで」
「相変わらずカッコつけてるなって」
「え? 僕がですか?」
「そう。カッコつけてる」
ヨシノさんはあの会社の中では
穏やかな優しい人だった。
僕のこともよく面倒を見てくれた。
厳しい言い方ではない。
笑顔で言ってもいる。
でもそんな印象を持たれていたとは、
まさか夢にも思わなかった。
「久しぶりにカネジュンに会って、
やっぱり思ったよ。そのカッコつけ方さ、
見てて気分の良いもんじゃないなって」
何か言いたかった。
でも何も言えなかった。
――というところで目が覚めた。
何が言いたいか?
確かに、自分ではそのつもりはなくても。
どこかカッコつけてるところは
もしかしたら僕にはあるのかも知れない。
でも思った。
そのつもりはなくても、
もしカッコつけてしまっているのなら――。
せめて見てて気分の悪くない
カッコつけ方をしたいものだと。
そんなこんなを思った、目覚めの悪い朝。
ヨシノさん、タンノさん、お元気ですか?
仮名にしたけど、本人読めばコレ
きっとわかっちゃうだろうな。笑
今日も良い1日を。
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