自販機哀歌

 

 

 

今日も純ちゃんの「俺通信」です。

「俺通信って?」

あ、要するに単なるおっさんの日記です。

「レッツ、ゴー!」

昨日の朝、9時半。

ちょっと近所まで歩く用事ができた。

行ってくる、とうちの奥さんに言うと、
自販機で冷たい飲み物を買ってと頼まれた。

「ガッテン承知」

僕は普段、もうほとんど現金は使わない。

走っているときに買う飲み物も、
カードを使ってコンビニで済ませる。

まったく使わないから
あんまり手元に現金を持っていない。

だから余計に現金は使いたくない。

ただ今回はね。
鬼編集長たっての所望なのでね。

財布からコイン出して自販機に入れる。

「カタン」

無情にも100円玉が戻ってくる。
自販機くん、飲み込んでくれやしない。

もう一度、二度、三度。

「カタン」「カタン」「カタン」

あ、そう?

あんた俺の100円玉は受付ないってことね?

別に「釣り銭切れ」が光ってもないのにね。
地味にイラっとする。
なんだよ、もう。フン!

隣の自販機に移動する。

まず鬼編集長の分。

「ドサン」

そして俺っちも喉が渇いた。
残りの手元のコインは140円しかない。

ジャスト140円で買えるもので、
甘ったるい缶コーヒーじゃないもの。

それがカルピスソーダだった。

そんなの普段は飲まない。
でももうこの時点でけっこうな滝汗だった。

なんせ昨日のあの暑さだ。
朝9時台の太陽は傍若無人な無敵艦隊だ。

そして隣ではマンションの住人なのかな、
若い男女が盛大にタバコ吸ってて
猛烈に臭い。

とにかく早くすませよう。

140円を投入。
購入ボタンを押すも――。

「ド……サ……」

ん?

音はかすかに鈍くしたけど
取り出し口には何も落ちてこない。

「どーゆーことよ?」

ちゃんと自販機くん、
140円は飲み込んだよね?
契約は成立したはずだよね?

何度も取り出し口を確認する。
軽く自販機くんの胸板に刺激を与えてみる。

でもうんともすんとも言わない。

隣からやってくる盛大なタバコの煙が
情け無用に僕の全身を包み込む。
(オエー)

今ここで自販機の管理会社に電話する?

タバコの煙と大汗、炎天下で待つの?
たった140円のために?

答えはノーだ。

でも猛烈に悔しい。

汗はさらにあふれて首筋をつたい、
喉の乾きはさらに強くなる。

決めた。

財布にコインはもうない。

あの140円が最後の僕の手持ちだった。

大切な虎の子の千円札だけど、
決戦兵器として投入するぞ。

ただしタバコの煙からは逃げたい。

少し離れた場所にも自販機があったので、
そちらに移動する。

満を持してピカピカの北里柴三郎を投入。
カルピスではなく決然とポカリを選択。

「ドサン」

んー、実にいい音だ。

おい、やっと俺のポカリが来たぞ。

と――。

おつりを取ろうとして少し勢いが余った。

釣り銭口から100円玉が転がり落ちて、
コンクリートの隙間に入ってしまった。

これがね。

すぐそこに見えてる。

でも絶妙に指が入らない。
つまり、取り出せない。

いや、見えてるんだよ。
でも取り出せないんだよ。

「チーン」

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

損をしたのはたかだか240円。

でもわかってくれるかな、この気持ち。
悔しいったらありゃしない。

おまけに滝汗かいた。

つまり何が言いたいのかって?

だから最初に言いましたよね。

今日は俺通信、つまり単なる
おっさんの日記だって。

そう、純ちゃんの自販機哀歌でした。

ああ悔しい!

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在20歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。