あれやこれやを、やいのやいの

 

 

今朝も我が家の19歳が洗面所で
顔を洗う物音で起きた。

朝5時すぎ。

いつもの朝と違うのは
忍介がコンコン咳をしていることだ。

たぶん、19年の人生で彼は
5回くらいしか風邪を引いたことがない。

それくらい珍しい。

「咳をしても一人、っていいよね」

と彼が言う。

「ああ、いいよね。種田山頭火だっけ?
高浜虚子だっけかな?」

「高浜虚子だね……ねえお父さん、
咳しててさ。薬ってある?」

探してみるも、こういう時に限って
薬のストックがない。

本当は今日は大学を休んで近所の
お医者さんに行ったほうがいいと思う。

でも忍介が熱もないのに
咳だけで講義を休むとも思えない。

真面目なんだよね、本当に。

僕なんか雨が降ったら大学休んでたけど。笑

そんな彼の気持ちもわかるのでね。

「なんとかしてあげたい」

久々に自分の中のそんな
「親」が盛大に発動して。

休み時間にドラッグストアに
急いで薬を買いに行けだの。

適当に選ぶんじゃなくて
必ず店員さんに相談しろだの。

明日は2限からだから、朝一番で
お医者さんに並んだほうがいいだの。

そんなの余計な親心だと思いながらも。

どうしても止まらず、あれやこれやを
やいのやいのわーわー言ってしまう。

「わかったよ。ありがとう。行ってきます」

とクールに出ていく19歳。

親はどうすることもできないのにね。
言ってもしょうがないことなのにね。

そう思いつつさっき見送った玄関先。

「咳をしても一人」

ちょっと気になって今、調べてみたら。

高浜虚子でも種田山頭火でもなく――。

尾崎放哉だったぞ、忍介氏!

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。