「相手の立場に立ってものごとを見ましょう」
とはよく言われることだ。
そのくせ実はこれほど難しいことって、
他にないんじゃないかしらん?
――ということを思いながら読んだ。
学校に行きづらくなった子どもたちと
約40年間にわたって一緒に過ごしてきた
ご存知、フリースペースたまりば
理事長の西野博之さんの新刊だ。
特に良いなあと思ったのは、
タイトルの通り、
「学校に行かない子どもが見ている世界」
を文字通り描いている
「“あるある”から知る
子どもたちが見ている世界」
の第一章だった。
まず「親から見た世界」が
見開きで描かれたあと、同じシーンが
「子どもから見た世界」
でも描かれる。
漫画なのでとても感情に入ってきやすいし、
そのあとの西野さんの解説がまあ、
腑に落ちること、腑に落ちること。笑
最初にも書いた通り、相手の立場に立って
ものごとを見ることの大切さは
頭ではわかっていても、ついつい
自分の立場ばかりに囚われがちなのが
人間というもので。
個人的には「結局、どうしたら行くの?」
の項で、中三の娘のために
あらゆる手を尽くした
母親のところが一番胸に響いた。
叱ったり説得したり、先生にお願いして苦手な子と別のクラスにしてもらったり。
それでもダメだった。
仕方なく夫を説得し引越しをして転校させることにした。
それなのに――。
やっぱり行けない?
はぁ? なんだそれ?
あ――――もう! いいかげんにしてよ。
というのは親の視点。
学校に行かない言い訳を何パターンも用意した。
でももうそろそろネタ切れから考えるのも疲れちゃったし、さすがにここまで言えばあきらめてくれるでしょ。っていうか、あきれちゃうかもだけど。
え? 嘘でしょ?
引越しって?
そこまでしちゃう?
どうしよう……。初登校の朝。学校に行かなきゃ。
むりむりむり。ママごめん。ごめんごめんごめん。でもやっぱりむり。絶対むり。もう絶対行けない。
というのが娘の視点。
私なんかもういないほうがいいんじゃないかな。もう……生きてるのつらい。
そして娘はカッターナイフを取り出して――
と、こうやって子どもの立場から見た場合に
親の振る舞いや声かけがどう映るのか、
どう響くのか、どういう具合に傷つくのか、
それを痛いほど思い知ることができる。
だからこそ、
「生きていれば十分」
心の底からそう思えたとき、ゆっくりとなにかが変わりはじめます。
という西野さんのアドバイスが
すーっと入ってくる。
本当に子どもの気持ちを
わかりやすく理解できる本だった。
お子さんが学校苦手な
保護者はもちろんのこと、
学校の先生方にもぜひ
読んでもらいたい一冊だった。
最後にもうひとつだけ。
とても心に沁みた
西野さんの言葉がこれだった。
学校に行けば社会性が身につくというのは幻想です。たった一人でも味方でいてあげて。(中略)
家から一歩も出られなくても、たった一人でもいいから子どもの近くで話を聞いてあげてください。どうか周りの「常識」に惑わされないでください。大丈夫です。その子にはしっかり社会性が身につきますよ。
たった一人でも味方がいれば、
社会性は身につく。
これをね、お守りのように親は
肝に銘じていたいですよね。
大丈夫マイフレンド。
今日も良い1日を。
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本当にそうですね。
一人の味方がいればそれだけで安心が1つありますね。
それがまず、親がなってあげれると、ゆっくり動いていきますね
一人の味方で安心安全ができると、外にも一人の味方が見つけに行けるような感覚を我が家ではあった気がします。
生杉さん、コメントありがとうございます!
本当にそうなんですよね。まず家で安心できてこそ、――というのは今にして僕も振り返って思うことです。