自分のためだろ?

 

 

『マンガ「山奥ニート」やってます。』

を読んだ。

働きたくないけど、生きるのに必要な分だけ稼いで暮らす。
和歌山の廃校に集まったニートたちは、共同生活を続けることで自信を持ち、“人生の心の保険”を得たことに気付く――。
世界の破滅を期待していた若者がたどり着いた限界集落での日々を描くエッセイです。

コミカライズの作者は、『学校へ行けない僕と9人の先生』などで知られる棚園正一氏。
「大自然とは縁遠かったニートと呼ばれる若者たちが、山奥でどうやって暮らし、変化していくのか、その悪戦苦闘ぶりにご期待ください!」(棚園)

という本だ。
(以上アマゾンのコピペ)

確かにね、と思った。

山奥の廃校で家賃0円で暮らす――。

ちょっと違うけど似たような感覚なら、
僕らの世代が若かった頃は
バックパッカーという選択だったと思う。

僕がこの本が良いなと思ったところ。

それは「山奥ニート万歳!」
という本ではないところだ。

山が合わずに離れる人もいる。

来る理由も離れる理由も
本当に人それぞれだ。

それもしっかり描かれているのが良い。

バックパッカーもそうだけど、
「こういう生き方もあるよ」
とまず知識として知ること。

それだけでも、少し心が
軽くなることもあると思う。

さらっと読めるけど、深い群像模様だった。

ご興味ある方はぜひ。

ただ僕はどうしてもね、
視点が親サイドなのでね。

一番印象に残ったのは第8話の
「お母さん預かり」のエピソードだった。

以下、完全にネタバレなので、
読むつもりの方はスルーしてください。

山奥ニートの住人の一人、
ヨタローは学歴第一の家庭で育った。

言われるがままに勉強し、
進学校に通った。

が、勉強についていけなくなり、
ひきこもった。

家族はそんなヨタローを認めなかった。

いくつか仕事も転々とし、
落ち着く場所を見つけられず、
山奥ニートにたどり着いた。

そこへある日、とある母親が
見学にやってきたのを見る。

「じつはうちの息子……
もう10年もひきこもってるんです」

「息子をここに来させたら
ちゃんとしてくれるかしら……?」

アテンドする山奥ニート代表の
石井さんに向かって母親がそう呟く。

それを聞いたヨタローは
フンッと鼻を鳴らして思う。

「違う……自分のためだろ?」

母親は泣きながら石井さんに
あれこれ息子のことを勝手に話す。

自分が息子のかわりに
履歴書をつくってあげると言っても
何もしないこと。

息子のことを一番に考えて育ててきたのに、
どこで間違えたのかわからないこと。

もうどうしたらいいかわからない。

「ここで預かってもらうことって
できませんか?」

そう言い出す母親に向かって、
横からヨタローが答える。

「息子さんじゃなくて、お母さんが
ここに住んだらいいんじゃないですかねー」

そう言いながら心の中で激しく思う。

「息子の人生は母親のものじゃねーだろ!」

それは教育熱心で学歴第一主義だった
自分の母親に対する叫びでもあった。

なんだかね。

親っていう種族はすぐ
「良かれ」と思っちゃうんだよね。

この見学に来た母親ほど、
わかりやすい図ではなくとも。

「なんとかしてあげたい」

と思う親心。

でも、それは、実は、違う。

「違う……自分のためだろ?」
「息子の人生は母親のものじゃねーだろ!」

という、ヨタローの心の声がね。

親には聞こえない。

心の声を聞こうとする前に勝手に行動する。

<問い>なぜか?

<答え>自分が安心したいから。

なんかね、痛烈にその部分が迫ってきて、
とってもイタ気持ちいい感覚。笑

「息子の人生は母親のものじゃねーだろ!」

いや、本当にヨタローくん、
あなたが500%正しい。

ちなみに。

お母さんがここに住んだらいいという
ヨタローの提案に、母親はこう答えた。

「わ、わたしはホラ
虫が苦手だから……ははは」

今日も良い1日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在19歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。