「お父さん、ぼくね、
ようやくたどり着いたんだよ」
朝早く起きると忍介がリビングにいて、
明るい声でいきなり話しかけてきた。
「なになに。どこにたどり着いた?」
「前に話したあのゲームの武器の話。
もう何時間も研究し尽くしてさ。
ほぼまっすぐに撃てるようになったんだよ」
「へえ。すごいじゃん!」
「もうね、やっとだよ。
ホント色々試してさ」
説明する。
忍介がやっている戦争ゲーム。
これがまあ、微に入り細に入りリアルで。
忍介のお気に入りの銃は
敵に与えるダメージは大きいのだけど、
弾道に大きなブレが生じるらしく。
連射すると弾道がS字にうねるという。
「本当かね?それ気のせいじゃない?」
そんなことをつい、
僕が言ったものだから火がついてしまった。
「見ててよ」とゲームの中で
忍介が壁に向かって連射する。
近くに寄って弾痕を見ると、
確かにS字にうねっていた。
このS字のうねりを制御して
もっと正確に射撃したい。それが
ここのところの彼のテーマだったようで。
何時間もずっと集中して試した結果、
晴れてほぼまっすぐに撃てるようになった。
それを僕に報告してるのが冒頭の図だ。
曰く――。
わずかにコントローラーを右に傾けつつ、
ベタに引き金を引きっぱなしにするのでなく
0.5秒ずつ、細かく区切って
射撃を繰り返すのがポイントらしい。
その研究結果。
たぶんそのゲームの中以外では
どこにも使いようがない。笑
でも、と思った。
理科の実験を熱心にやったと思えば、
なかなかのものなんじゃないかなと。
<自由研究>
S字にうねる弾道をおさえる2つの要素
金子忍介
こんなレポートにまとめたらいい。
って彼は絶対にそんなことはしない。
なので、、、親バカの父親が
成り代わってしたためましたとさ。笑
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