吹けば飛ぶような親切

 

 

 

走っている。

走る僕を自転車が追い越して行く。

すると、自転車に乗っていた
おじさんの野球帽が風に舞った。

ふわり、道端に落ちる野球帽。

おじさん気づいて自転車を止める。

別にそのまま走り去ってもよかった。

だっておじさん、気づいて
拾いに戻ろうとしていたし。

でも帽子との距離は僕の方がまだ近かった。

小走りで戻って帽子を拾う。
戻ってきたおじさんに手渡す。
お礼を言われる。どういたしまして。

マンションに戻ると、
アマゾンの配達員さんかな?

険しい顔でエレベーターに乗ってる。

「あの、この***号室って
どこだかわかりますか?」

ちょっとうちのマンションって
変わった構造してるんでね。

場所によってはエレベーターの
乗り換えが必要なので、
初めての人には確かにわかりにくい。

僕もわからなかったので一緒に探す。

何が言いたいか?

ちょっとしたことだ。

人として当たり前のレベルの、
ほんのささいな、吹けば飛ぶような親切。

でもそれをしたことがこんなにも心温まる。

なぜか?

世の中、クソすぎるんだよね。本当に。

毎日毎日、腹が立つことしか起こらない。
まったくどいつもこいつもクソ人間だ。

嘘つき。厚顔無恥。恥知らず。
人として終わってる。
クソだ、クソ。みんな死んじまえ!

そうやって常に脳味噌が沸き立っている。

だから自分がほんの少しだけでも
見知らぬ身近な誰かに親切にできた。

それだけでもなんかうれしい。

もちろん、僕がいつも親切なわけではない。

こう見えて僕もクールでワイルドな
コンクリートジャングルに暮らす現代人だ。

道端で人が倒れていても、
通り過ぎてしまうこともある。

一昨日もハーフタイムに等々力の
コンコースで寝そべってる女性がいた。

足でも攣ったのだろうか?
男の人が彼女の足を伸ばしている。

なんかよくわからない。
こういうのは平気で通り過ぎる。

できる範囲で全然構わない。

でも誰かに親切にすることは、
回り回って自分にあったかく戻ってくる。

たかが帽子を拾っただけだ。
たかが部屋を一緒に探しただけだ。

でも僕の心はこんなにも温かくなる。

人にやさしくしてもらえないんだね?
僕が言ってやる でっかい声で言ってやる
ガンバレって言ってやる
聞こえるかい? ガンバレ♪

ううぅ、なんていい歌なんだ。泣

さあ、希望を持って忙しく。
Hope and keep busy.

今日も良い一日を。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在21歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。