湘南国際マラソン2025完走記

 

 

 

今日はランナー備忘録です。

※注意:長文です。お時間あるときにどうぞ。

昨日は大人運動会、
湘南国際マラソンを走った。

いろんな足音がある

9時の号砲とともに
大磯からまず江ノ島に向けて走る。

2万人くらい走ったんじゃないかな?

雲霞のごとく湧き出る、
無数のランナーたちと肩を並べて走る。

「バタ、バタ、バタ、バタ」
「バタ、バタ、バタ、バタ」

無言で走る僕らの数百・数千の足音が
湘南の海沿いに黙々と響く。

足音、にもいろいろある。

ドスコイと重く、やたら大きい音。
(ドカ、ドカ、ドカ、ドカ)

着地寸前に地面をこするように走る音。
(ズィバ、ズィバ、ズィバ、ズィバ)

言っちゃなんだけど、
こういう人のフォームってさ、
あんまり綺麗じゃないんだよね。
(少なくとも僕の好みではない)

僕の好みのフォームで走る人が多いのは
断然、青学陸上競技部だ。

僕もあんな風に走りたいと思う。

きっと青学の選手たちの足音は
軽く、音も小さいはずだ。
(タッ、タッ、タッ、タッ)

僕の足音もこうであってほしい。
願わくば。

――と、昨日の前半は
そんなことを考えながら走っていた。

ペースのことは難しい

立てた目標は3時間45分。

1kmを5分19秒で走る計算だ。

ただスタート時の混雑もあって
思うようにペースがつかめない。

最初の1kmに5分40秒もかかってしまう。

もちろん、こんなペースじゃ
4時間を切るのが精一杯だ。
しっかりペースアップを図る。

2kmと3kmのラップが5分9秒と5分8秒。
4kmと5kmのラップがともに5分11秒。

正直、5分19秒の目標に対して
少しあげすぎた。

「たかが1kmあたり10秒やそこらでしょ?」

ノンノン、ムッシュ。

確かに5km10km走る分には
10秒なんて誤差みたいなものだ。

でもね、42kmを走り切ろうと思ったら、
この10秒の差は大きい。

オーバーペースは必ず後半、
2倍3倍になって跳ね返ってくる。

でも昨日は身体が軽かった。

たぶん、僕の足音も軽かった。
要するに調子が良かった。

ペースは落とすと再び上げるのは難しい。

だからこのまま押し通せ。
大丈夫。レースのアドレナリンもある。

そう決め込んでそのまま行く。

8kmのラップは4分59秒。

さすがに上がりすぎだ。
意識して少しだけペースを落とす。

まだ半分も行かないうちに

ただ異変は早くも17kmで訪れる。

「あ、筋肉の破壊が進んでいる……」

そういう感覚があった。

30km以降ならまだわかる。

でも半分も行かないうちに
この感覚はまずかった。

不安を抱えつつ、19kmすぎの
江ノ島の折り返しに差し掛かる。

ここは鈴なりの大観衆が
大歓声で僕らを迎えてくれる。

街全体がどんちゃか、お祭り騒ぎだ。

青いユニフォームを着て走ってるおかげで
僕にも沿道から時おり声がかかる。

「フロンターレ、がんばれー!」

ありがとう、と手を振り返す。

普段生きていて、
こんなに応援されることなんてない。
嬉しくて涙が出そうになる。

ペースだって上がろうというものよ。

21kmを過ぎる。22km。23km。

そしてコースが防砂林になると、
応援の声はかくっと減る。

途端に意識は筋肉の破壊活動に向く。

ミシミシ、ギシギシする。
加えてトイレにも行きたい。

一旦、気分を変える意味でも
思い切ってトイレに立ち寄る。
ロスした時間は1分くらいか。

そしたらちょうどそこに、
ペーサーに率いられた集団が
後ろからやってきた。

見ると「3時間45分」の集団だった。

ありがたい。
ペーサーについて走るのは、
一人旅と比べてやっぱり楽なのでね。

落ちなんとするペースを維持するために、
集団にストーキングさせてもらう。

試練の湘南大橋

25km、26km、27km。

辛いながらもとにかく無心に付いていく。

そして迎えた29km。湘南大橋。

すこーしだけ、
数百メートルかけてのゆるやかな上り。

普段ならなんてことのない勾配だ。

でもこれが30km近く、
結構なペースで走ってきた身には
残酷なほどキツい。

この上りであっという間にペースが落ちた。
ペーサー集団が徐々に遠ざかっていく。

無念。もはやこれまでか。

「いっそのこと、もう歩いちゃう?」

いや、それだけはまだだ。

なんてったってランナーズアップデートで
全世界に自分の結果を公開している。
30kmの計測マットを踏むまでは頑張ろう。

ここで余談。

ゴールしてから気づいたんだけど、
ランナーズアップデートが変わっていて、
僕が知らせたリンクでは最終結果だけで
10kmごとの経過がわからなかったですね。

昨日リアルタイムで検索しようとした方、
もしいたらすみませんでした。

ここから大ド根性大会

話を戻して、、、

30kmの青い計測マットを踏む。

かなりの敗北感とともに、それでも
ヨボヨボと31kmまでなんとか進む。

でも僕はラッキーだった。

後ろからまた集団が来たのだ。

そう、3時間45分ペーサーの
第2陣がいたのだ。

もう、これしかない!
この集団に食らいついていけ。

ただただ、その一念。

ここから大ド根性大会になった。

足はもう、ひっきりなしに攣りそうだ。

「攣るなよ、攣るなよ、絶対に攣るなよ」

心の中でダチョウ倶楽部をひたすら念じる。

32kmを通過。

「みなさん、あと10kmです!!
最後まで頑張りましょう」

女性ペーサーが元気よく高らかに宣言する。

そう、残りはあと10kmだ。

でも足の指10本全部が痛い。
足の裏の左右全面すべて痛い。

毎秒、着地衝撃が脳天を突き上げる。

不快指数は500%。

暑い。
汗がひっきりなしに目に入る。

下半身はすでに自分のものじゃない。
脚らしき別の何かだ。

そして今の自分にできることは交互に
右と左の脚らしきものを前に出すことだけ。

あと1時間弱でこの地獄からも解脱できる。
この集団に食らいついて離れなければ。

そしてたぶん、今の俺ならそれはできる。

俺はこう見えて不登校もそうだけど、
マラソンのほうも10年選手なのだ。

もうあと1kmだけ

もちろん、とぼとぼ歩きの
ゾンビ敗残兵になるのが一番簡単だ。

僕の中の悪魔がひっきりなしにささやく。

「おい、路肩でゆっくりストレッチして
リフレッシュしたら気分も変わるぞ」

いや、だめだ。

そんなことをしたらもう今のこの
5分20秒のスピードは永遠に取り戻せない。

あともう1kmだけ、がんばろうジュンイチ。

35km。いいぞ。あともう1km。

36km、37km。
まだギリギリ走れてる。

俺、すげーよ。自分が誇らしいぜ。

そして、38km。

「残り4km」と思えば気力もみなぎる。
この耐え難い苦痛もあと20分ちょいだ。

ラストスパートで集団の前に出る。

もちろん、苦しいことは
まったく1ミリも変わりはない。

でも距離を積むごとに
光明が頭の中で大きくなる。

湘南国際は勝手知ったるコースでもある。

苦しさは変わらずどんどん水位を増すも、
同じくらい希望も大きくふくらんでくる。

今日は勝ったんだ

グロスではちょっと難しいだろう。
でもネットなら3時間45分を切れるかも。

今日は湘南大橋で一度、負けかけた。

でも30km以降、過去一番とも言える
完全なるド根性を発揮できてる。

1972年生まれ。53歳、金子純一。
まるで青春みたいじゃないか?

41kmの表示。

まったく酷いフォームではあるけれど、
息を切らせてさらにペースを上げる。

42kmのラップはなんと5分1秒。

爆走を続けるも最後の急坂の手前で
右ふくらはぎが鋭く警告するかのように
はっきりと攣る予兆を見せる。

あわててペースを落とす。
ここで攣ったら元も子もない。

いいんだ。今日は勝ったんだ。
自分の弱さに打ち勝ったんだ。

一度だめになりかけたレースを
しっかり精神力で乗り切った。

ある意味、老獪さもあったと思う。
長くマラソンを走ってきた経験が生きた。

そんな実感と共にゴールした。
3時間45分44秒。

実に面倒くさい競技

何度走っていても――。

最後の12kmはガツンと来る。

本当にマラソンのスタートって
30kmからなんだよね。

この苦しい本番の12kmを走るための
オードブルとして30kmという距離がある。

いや、実に面倒くさい競技だ。笑

そして長らくこんなランナーの脳内反芻に
お付き合い頂き、ありがとうございました。

これであなたが少しでも「走ること」に
興味を持ってもらえたら嬉しいです。

ホント、楽しいですよマラソン。

翌朝の過酷な筋肉痛もセットですけどね!

  • ネットタイム:3時間43分15秒
  • 平均ペース:5分16秒
  • 平均心拍:148bpm
  • 平均ピッチ:182spm
  • 平均ストライド:1.04m

今日も良い一日を。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ。 息子は小学三年生の時に不登校になり、小・中学校には通うことなく卒業しました(現在20歳・大学生)。 不登校や親子関係の悩みについて、セミナーや講座をお届けする「びーんずネット」の事務局を担当しています。趣味はマラソン。不登校をテーマにしたインタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』や各種書籍の出版をしています。